【豊中市】患者さんの気持ちが痛いほどわかる歯科医院

藤田歯科医院
藤田 義典 院長
(大阪府豊中市)

calendar_month公開日:2024.08.21 | 更新日:2024.10.15

藤田歯科医院

大阪の中心、京都方面へのアクセスも抜群で、閑静で落ち着いたベッドタウンでもある豊中市。治安が良いためファミリー層も多く、近くには日本の歴史公園100選にも選ばれたという服部緑地公園があります。緑豊かな北大阪急行電鉄の緑地公園駅から徒歩3分のところにある藤田歯科医院は、扉を開けた瞬間、温かみのあるとても落ち着いた雰囲気で、歯医者に来たことを忘れてしまいそうに。

そんな歯医者の嫌なイメージを払拭するようで、北欧テイストの空間にぴったりな、優しい笑顔で迎えてくださる院長の藤田 義典先生にお話を伺いました。

芝池 高之
解説者
歯科経営アドバイザー 芝池 高之
大手歯科経営支援会社において数十年にわたり、数多くの歯科クリニックの経営戦略を立案・成功してきた歯科業界を隈なく知り尽くすアドバイザー。

■ 顎口腔機能治療ができる数少ない歯科医師

藤田先生は大学で顎口腔機能治療という分野を学んでこられました。
顎口腔機能治療=口の機能のリハビリです。
歯科医院での治療というと、昔は歯の治療で虫歯を削って金属を詰めたり被せたり。その後歯茎も歯と同じくらい重要視され、歯周病治療が全ての歯科医院で行われています。
ところが藤田先生は、さらに口の中の筋肉が重要と仰ってします。たしかに口の中を形成しているのは、歯と歯茎と筋肉です。
私も20代のとき、悩み事を抱えすぎていつの間にか顎がずれて苦労したことがありました。食べ物を噛むと、こめかみがギシギシ軋むのです。そんなとき藤田先生を存じ上げていたら早く治っただろうと思います。

おそらく今後の歯科医療では、口の中の筋肉についての研究や研修が進んでいくでしょう。
口の中の具合が悪いという人にとって、歯と歯茎と筋肉を診断、治療してくださる藤田先生は心強い存在です。また口唇口蓋裂で生まれたお子さんにとっても、今回のインタビューで一連の治療体系を語っておられるのは、貴重な情報です。

藤田先生も「歯医者のみかた」で紹介している他の先生同様、定期的なメンテナンスが必要と仰っています。とくにセルフケアが大事とも。
その中でもフレイル(加齢や病気等で身体的・精神的なさまざまな機能が衰え、心身が脆弱になること)について説明されています。口の機能を低下させないためには、「ちゃんと食べれるというのをずっと続けること」と。これができないようであれば、歯科医院へ行って治療や訓練を受けましょう。
口の機能に限らず虫歯や歯周病を歯科医院で治療が一旦終わっても、その後のセルフケアが大事で、その方法は歯みがき一択だそうです。詳しくはこの後のインタビューをご覧ください。

患者さんの気持ちが痛いほどわかる医師

藤田先生は実は歯医者が苦手だそうですね。苦手になったきっかけはありましたか?

藤田歯科医院

「歯医者がイヤだ」ということに理由はないと思うんです。怖いもんは怖いですよね。
初めて治療に行った時の年齢にもよると思いますが、僕自身が小さい頃に行った歯科医院で嫌な思いをしたんです。1回そういう思いをすると、もう「歯科医院は嫌、怖い、行きたくない」ってイメージが染みついてしまうんですよ。

今と違って、昔は予防歯科という概念がなかったので、「歯医者に行く=治療しに行く」だったんです。幼少期に何度か歯科医院には行ってたんですけど、行くたびに痛い思いをして打ちのめされていましたね。

編集部写真編集部

わかります…。昔は歯を削るの痛かったですよね。子供の頃の嫌な思い出って、大人になった今でも残っています。

でも、そんな歯医者嫌いな先生が、歯科医師の道に進まれたのにはワケがあるんでしょうか?

元々、理工学部にいてそのまま大学院に進む予定だったんですが、ある先輩に会ったことがきっかけでした。
その先輩が大阪大学の歯学部へ編入学していたんです。その先輩に、一緒に歯学部の道へ進もう!と半ば強引に誘われて、試験を受けることに。急だったんですが、見事合格することができ、歯学部へ転入することが決まりました。
人生、何があるかわからないですね。

歯学部の実習で歯を削る音を聞いていると、そういえば自分は「歯医者が嫌いだった!」ということを思い出しました。何度も「いつ辞めようか」と考えていましたね(笑)正直、あの音は何度聞いても慣れることはなかったです。

そんな時に、顎口腔機能治療学という分野に出会ったんです。大学に入る前に、実はリハビリのお医者さんになりたいって思ってた時期がありました。歯学の分野で、まさかリハビリに繋がるものがあるとは知らなかったので驚いたし、これこそ自分が求めていたものではないか?と思ったのを覚えています。
当時は、口の機能のリハビリはメジャーでなく、大阪大学くらいでしか授業もしてなかったと思います。講師で来られていた先生から、リハビリのいろはを講義で聞いて「コレだ!」と思いました。なかなかマニアックな分野でしょう(笑)

「顎口腔機能治療」という言葉はあまり聞きなれないんですが、どんなことをされているのでしょうか?

簡単に言うと、口の機能のリハビリのことなんですね。
口の中には、色々な筋肉があってそれぞれ色んな目的で動いています。
「上手く噛めない」とかもそうなんですけど、何か問題が起きた時に、歯や歯肉などが正常であれば、ほとんどの場合は筋肉などに問題があるということです。

嚥下障害の場合、どこの筋肉が動いていないとか、動くタイミングが合っていないとか、そういうことをまず調べます。それで、筋肉が正常に動くようにリハビリをしたり、リハビリで無理な場合は補助的な専用の装具を入れて、うまく飲み込めるように補助します。
例えば、足を骨折した時にギプスをして松葉杖をつきますよね。ギプスを外してからも、補助的な意味でそのまま松葉杖をつく、専用の装具はこの松葉杖の役割を果たすんです。この装具を作るというのが、僕が所属していた顎口腔機能治療部のメインの仕事でした。

嚥下障害など老化が原因でなるイメージが強いのですが、顎口腔機能障害は、若い方でもなるのでしょうか?

もちろん、老化も原因のひとつではありますが、高齢者だけでなく実は若い方もなる可能性はあるんです。
嚥下障害=高齢者というイメージがついてしまってるから、そう思われがちなんですけどね。実は、嚥下障害を起こす理由は色々あるんです。

当時は、顎口腔の機能障害といっても認知があまりされていなかったので、大学病院に様々なことが原因でお困りの患者さんが来られていました。すごく勉強になりましたね。患者さんと向き合って、一緒に解決していくという姿勢は、その時に培われました。

口唇口蓋裂で生まれたお子さんに向けた、一貫治療(体系)というのがあるんです。生後すぐに起こり得る哺乳障害や呼吸障害に対して哺乳床を作ったり、一次治療として生後3ヶ月からの口唇形成術にはじまり、口蓋形成術を言葉が出だす前に行う。すなわち口の形を整えて、大体1歳半くらいまでには唇と口の中の手術を1回は終わらせましょうというのが、口腔外科で行われます。
その後、顎口腔機能治療部へ来てもらって口の機能を確認し、きちんと言葉が出るようになってるか等を診るということをやっていました。

1歳半くらいのお子さんと一緒に遊ぶ中で僕らが耳で聞いて確認し、言葉の歪みがある場合、言語聴覚士の先生と一緒に言葉の訓練をしてもらうというのを外来でしていました。言語聴覚士というのは、体のリハビリの先生である理学療法士と同じような言葉のリハビリの先生です。
4~5歳になって本来の言葉が出だす時に問題がなければ、今度は歯並びを直す方にシフトチェンジします。口唇口蓋裂は、ほぼ100%と言っても過言ではないくらい歯並びに影響が出ます。なので矯正科で何年かかけて歯並びを治療します。その後、また口腔外科で口唇や口の中の2次修正を行います。こういった治療の体系を一貫治療(体系)といいます。

嚥下障害については、一貫治療をしているお子さんの中にもいらっしゃいましたし、脳卒中などの神経一筋疾患、その他色々な病気や何かしらの治療のあとからなる方もいらっしゃいます。睡眠時無呼吸症候群なんて、その時はあまり知られていなかったんですけど、今ではめちゃくちゃよく聞くようになりましたね。そういう方が、寝ている間に唾を誤嚥するっていうのもあることなんです。

気持ちがホッとして帰ってもらえる治療

藤田先生は、普段の診療でどのようなことを意識されていますか?

藤田歯科医院

歯というのは、そもそも口を機能させるための道具のひとつだと思ってるんです。
食べ物を噛んですり潰したりするのって道具ですよね。それを動かすのは筋肉であって、神経もあって…。いくら歯をキレイにピカピカにしていたとしても、動かせないと噛めないですよね。だから、その時の患者さんの筋肉の状態をしっかり確認したうえで被せ物を作ったりしています。
「歯を治す」というよりも、きちんと噛めるかなど口の機能から全体を見て治療をしています。

実は、患者さんが求めているものってあまりないんですよね。
中にはこうしたい!って思いの強い方もいらっしゃって、そういう方はわかりやすいのでこちらもありがたいです。でも、ほとんどの方が結構消極的なんですよ。イヤイヤ来られてますから(笑)
そこの心配とか不安な部分をしっかり取り除いてあげるというのは普段から心がけています。今の状態をしっかり説明して、僕自身がこうすればよくなるなというのをイメージしながらわかりやすく伝えることで納得していただき、最終的に治療が終わってこれでしっかり噛める!とホッとして帰ってもらえるところまでいけるととても嬉しいですね。

そしてその後、今後もしっかり「噛む」ことを続けていくために、定期的に管理していきましょうということで、予防していくことを勧めます。だって、削られるのイヤでしょう?痛くて歯医者に行くのイヤでしょう?って(笑)
それがイヤだったら、予防するしかないんですよね。

今後削ることにならないために、普段からできるセルフケアで特別なことはありますか?

基本「歯みがき」1択です!
これには理由があって、普段から歯みがきをするという習慣がついていると、口の中を気をつける習慣ができているということなので、自然に調子が悪いなとかここがおかしいかもしれないって気付けるんです。昼間は難しいかもしれないけれど、可能な限り毎食後に磨くクセをつけてほしいです。

+αで歯間ブラシとかフロスとかやる方もいらっしゃると思いますが、それはものすごく良いです。
歯みがき以外の+αをすることで、私たちが診るプロフェッショナルケアが必要になる間隔も長くなるんですよ。これだけしっかりできているなら、次は半年~1年後でも大丈夫ですねとお伝えできます。(でも、1年あくと気付かずに何か起こっていたら結構進んでいることが多いので、大体6ヶ月が最大ですと言っています)
セルフケアが9割と言われていますから。

出来る人は出来るし、やらない人はやらないです。
やらなくても、口の中にトラブルがおきない方も少なからずいらっしゃいますが、大概何かしらの問題は出てきます。
逆に、きっちりセルフケアをされてる方でも、正直むし歯や歯周病になる方はいらっしゃいますよ。色んな要因が重なってるからなんですけど、例えばだ液が少ないとか、口の中が酸性になっているとか、普段から口呼吸の人とか。そういう方は、しっかりセルフケアされていてもリスクはあります。なので、普段から丁寧に歯みがきすることが重要なんです。

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なるほど。特別何かするということではなく、基本である歯みがきを毎食後習慣化させることがとても大事なんですね。ついつい、お昼に磨くのを忘れることがあるんですが気をつけようと思います…。

まずは気軽に相談が必要

藤田歯科医院

編集部写真編集部

訪問診療もされているとのことですが、来てほしいけれど何から始めればよいかわからない患者さんや家族の方も多いと聞きました。

訪問診療が必要になった方はどうすれば良いのでしょうか。

訪問診療は基本的に介護認定を受ける方が利用されています。
日常生活が上手くいかないとか、外出しなくなったとか、動作もサポートがないと無理になってきたとかそういう時に介護認定を受けるんですね。
今まで行っていた歯医者さんに行けなくなって困るという時に訪問診療を利用することになるのですが、その場合はケアマネジャーの方は訪問診療をやっている歯医者さんをよく知っておられるので、そういった歯医者さんをご紹介する「豊中市在宅ケアステーション」という窓口があります。

編集部写真編集部

豊中市在宅ケアステーションは以下のページに掲載されています。
https://www.toyonaka-dent.org/cat113785/

そこに連絡をしてもらって、そこでかかりつけの歯科医院が訪問診療をやっていればそのまま行ってもらいますし、やっていなければ訪問診療をしていてご自宅から近い歯医者さんを紹介します。
僕たちが地域での多職種連携の勉強会などに出向いてケアステーションがありますよと周知させたこともあり、豊中市では多くのケアマネジャーさんにも知っていただけていますが、中にはそういったシステムを知らないケアマネジャーさんもいらっしゃるのが残念ですね。

ケアステーションは豊中市だけでなく、大阪府下どこの自治体でもあると思います。
歯のケアを怠ると、そこから全身疾患に繋がる危険性もあるので、介護認定を受けて訪問診療が必要になった方、まだ認定は受けていないけれど話を聞いてみたい方、お気軽にケアステーションまでお問合せいただければと思います。

編集部写真編集部

今、人生100年時代に向けて80歳で歯を20本残す「8020運動」に加え、口の機能の低下・衰えが全身の老化に繋がる「オーラルフレイル」という考え方が注目されています。

オーラルフレイル対策として、どうすれば良いか教えてください。

これも「予防」につきます。
よく「あいうべ体操」しましょうって聞きますよね。
例えば、要介護の方やデイサービスに行かれる方が、食事の前に体操してから食べるというのは、もちろんそうした方が食べやすいし誤嚥も少なくなるので良いと思います。要は「ちゃんと食べれるというのをずっと続けること」が実はフレイル対策なんです。

例えば食事でむせてしまう方に、じゃあむせても大丈夫なように胃ろうをやりましょうとなってしまうと、余計にフレイルは進んでしまいます。足腰もそうですけど、腰痛いし歩くスピードも遅くなったからといって歩くのをやめてしまうと、もう歩けなくなってしまいますよね。それと同じです。
しんどいかもしれないけど、できるだけそのままの機能をそのまま使う。最後まで一連の動作をやってみるということが大事です。それが、フレイル対策になります。もちろん、治療や訓練という手もあるでしょうけど、まずは諦めずにやり続けることです。

安心して任せられるホームドクターをみつける重要性

藤田先生が思う本当に良い歯医者さんとは?

藤田歯科医院

やはり「予防」をしっかりしている医院ですね。
最初の通院のきっかけが何であれ、そのまま亡くなるまで歯が痛くなくて、自分の歯でしっかり食べれることをきちんとしてくれる歯医者さんが一番だと思います。

歯は道具のひとつだと言いましたが、道具はメンテナンスをしないといけない。さらに大事なのは、代わりがない道具だということです。自分で頑張ってメンテナンスして、時々プロに診てもらうんだけれど、その中で口の機能自体が落ちて変化してないかというチェックも必要。それをうちの医院ではやっています。
きちんとメンテナンスして、フレイル対策も一緒にね。
安心して任せられるホームドクターを持ってもらえたらと思います。

最後になりますが、信頼できる良い歯医者さんを探しておられる患者さんに向けて、メッセージをお願いします。

患者さんも先生も機械ではなく人ですよね。
なので、人としてコミュニケーションがしっかり取れることがベストだと思います。

例えば、初対面でこの人怖そうとかいい人そうっていうのは大体最初の10秒くらいでわかります。それが正解だと思います。
だから第一印象というのはめちゃくちゃ大事なんです。
僕も毎日色んな患者さんと接しますが、今日はちょっと体調悪いのかな?とか何か嬉しいことでもあったのかな?とかパッとお顔を見て何となくわかるんです。

なので、まずは行ってみて先生と対面してみる。そこで患者さんが何を思うか…ですね。
すごい名医とか、どれだけ腕がいいとか言われていたとしても、患者さん自身がこの先生とは合わないかもって思いながら通うのは違うと思います。言われたことに対して、なるほど!って思える関係性が僕は良いと思っているので。

だから、事前にどんな先生か知りたいと思うならしっかりホームページは確認するべきだと思います。ホームページは自分の思いを、思い通りに伝えることができる最高のツールです。もちろん口コミも重要ですけど、あくまでその方の主観ですし、自分の目で見たものが全てです。
先生の写真が載ってないところは、確認のしようがないので患者さんは困るでしょうね。

そこでまずどんな雰囲気なのか、この院長はどういう思いで治療にあたっているのかというのが見えます。
どんなに名医だろうと、丁寧だろうと書いてある内容が自分の思っているものと違えば行かない。
実際に行ってみて、先生と対面して第一印象で良い先生だなと思えれば、関係性は上手くいくはずです。逆に、そう思えなければそれは縁がなかったという風に割り切らないと、いつまでも「歯医者はイヤなところ」から抜け出せないんじゃないでしょうか。

歯医者で削られるのがイヤ、あの音がイヤ。
そう思われる方は、セルフケアの歯みがきをしっかりした上で、たまにプロフェッショナルケアへお越しください。口の機能を衰えさせないためにも、ぜひ普段から口の中を気にかける習慣を作ってほしいと思います。
そして、安心して任せられるホームドクターと長いお付き合いをしていただきたいです。

この記事の監修歯科医師
藤田 義典 院長

藤田 義典 院長(藤田歯科医院)

大阪府豊中市/緑地公園駅 徒歩5分

藤田歯科医院は、「虫歯予防」を大切にしています。 歯科医師なのに「歯医者が苦手」だからこそ「痛みや不安」が少ない方法を提案し、診療を進めます。お子さまからご年配の方まで、地域の皆さまの悩みが解決できるよう、虫歯治療や予防、矯正治療や訪問治療まで様々な治療が可能です。 また、スピーチエイドや嚥下障害など口腔機能のリハビリも行っています。皆さまの「日々の健康」を全力で守っていきます。

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施設情報

医院名 藤田歯科医院
所在地 〒561-0872
大阪府豊中市寺内2-3-15 緑地サンプラザ104
連絡先 06-6866-0855
最寄り駅 緑地公園駅 徒歩5分
公式サイト https://fujita-dent.com/